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【感想文】進化とは何か ドーキンス博士の特別講義 リチャード・ドーキンス 吉成真由美 編・訳 P246 早川書房

 1991年 英国王立研究所でおこなわれた“子どもたち”を対象にした『進化』についての講義を巻頭カラー4ページ、本文中にも白黒ではあるが数多くの写真を使いよりわかりやすく、むずかしい数式などいっさい使用せずに生命(生物)がどのように『進化』してきたのか具体的に書かれストレスなく読める一冊

進化とは何か

 まず、今こうしてこの文章を読んでいる「あなた」そう、あなたは大変ラッキーだとリチャード・ドーキンス博士は語りかける!

なぜ読んでいるだけでラッキーなのか?なぜならあなたが今こうして生きていることは先祖(せんぞ)が途絶えずにいたという証拠だという

バックトゥザフューチャーの映画を見たことがある人は思い出してほしい。主人公がデロリアンに乗って過去に戻る戻った先には若かりし父と母がいた父と母が出会わせるのが主人公の任務だ
父と母の出会いが遠ざかると現在で撮られた主人公、父、母三人の写真の真ん中に写る主人公がだんだんと消えてゆく… 主人公の父と母が出会わなければ当たりまえだが主人公は生まれていない。

ヒトだけではなく今地球上にいるすべての生命 さっき見た犬、公園にいたハト、地面にいたアリ、食卓に出された焼き魚などは途絶えることなく先祖がいてその先祖たちは宇宙というとれも大きな空間の中でとてもゆっくりと進化してきたのだという

時間

とてもゆっくりという進化の時間とはいったいどのくらいのなのか?ヒトが時間を認識できるのはせいぜい100年が限界でそれ以上はひとくくりに【大昔】と考えるようにプログラミングされている。

紀元前となると2000年以上も前の話しだが生命(生物)のはじまりはなんと約35億年前。だというがまったく想像すらできない。
しかしリチャード・ドーキンス博士はこの“生命進化の時間”を写真、両手を使って非常に解りやすく解説してくれる。(これには本当に驚いた)

お金も額が高ければヒトの思考は停止する

100万円は理解できるが1,500億円となるといったいいくらなんだという疑問がわいてくる
1,500億円とはイージス艦1隻の価格であり豊臣秀吉の年収だというが、 いまいちピントこない

超能力者はいるのか?

講義中に神秘的な体験を科学を使って証明。
実際にコインの表、裏をすべて当てることができる超自然現象について会場全員を巻き込んでの大実験では当時の熱気が伝わってくる。

目、翼について

あの有名なダーウィンも説明することができなかった『目』についてはなぜ見えるようになったのか当たりまえに飛んでいる鳥はなぜ『翼』をつかって飛べるようになったのか先にも述べたが写真を使い解りやすく解説している。

キーワードは1%*1

奇跡的に『目』が見えるようになったのではなく、飛べるようになったわけではなく ほんの少しのきっかけと進化というとても長い時間をかけて『目』となり『翼』となった。

脳について

ヒトの脳は他の生命に比べてとても大きく、また短期間(100万年)で急速に進化したコンピューターと比較しながら例えられていて*2

脳の進化=想像力+言葉+テクノロジー

  • 想像力(地面に穴が空いている)
  • 言葉(身振り手振りで相手に伝える 自身の考えを整理する)
  • テクノロジー(細いボウを作る) 

によって脳は進化した。地面の穴の中にいる食料(幼虫など)があることをみんなに伝え細いボウを使って捕まえて飢えをしのいだより遠くを見たい(望遠鏡)、小さいものを見たい(顕微鏡)という目的を持ったことにより100万年という短期間で脳を急速に進化させた。

 NASA月面着陸

当時のアメリカ大統領が人類を月面着陸せよと目的を持たせたわずか10年後には目的は達成された(アポロ計画)ヒトにとって目的をもつことはとてつもない力を発揮させることを科学で証明し言葉も進化を急激に加速させたが
その言葉は諸刃の剣でもあり、とても恐ろしいことをもたらすことになってしまったP192 

 翻訳者

本書には1章から5章までが講義内容となるが特別に第6章があり著者リチャード・ドーキンス博士と編・訳 吉成真由美さんのインタビューが約40ページにわたって書かれている

ドーキンス博士ももちろんすごいのだがインタビューの吉成さんはマサチューセッツ工科大学卒業のサイエンスライタードーキンス博士と話が合いまくている。

冒頭でも書いたがこの講義は1991年に英国立研究所にておこなわれた内容で“子どもたち”を対象に進化とはなにかを解りやすく説明している。
この本が出版されたのが2014年と約20年以上前になるが内容に手を加えることがなかっただそうだ
つまり今現在でもじゅうにぶんに通用するリチャード・ドーキンス博士の能力の高さを証明する結果となった

吉成真由美さんあとがきにて

ドーキンス博士は徹底して真実に忠実であろうとする いち科学者のまじめでひたむきな姿勢を示している

の一行に鳥肌がたった。

 

 

 

あとがき

本書4ページの写真下にリチャード・ドーキンス博士の写真が載っている
どう見ても若い3~40代にみえたネットで調べると(なんて便利な世の中だ)1941年生まれ1991年-1941年=50歳 *3
最後の著者紹介のページにもリチャード・ドーキンス博士の写真が載っているが本書4ページ写真よりも歳をとって見える 時代の流れか
20年以上もたって出版され、今現在も進化についての入門書として“とある本”より紹介されていた

真実を追求する科学はすばらしい!

 

*1:たった1%でも全くないよりかは『マシ』だという

*2:もっとも興味深い内容だった。

*3:本書4ページ写真では50歳よりも若く見えた

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