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【感想文】サピエンス全史 文明と構造と人類の幸福 ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之・訳 河出書房新社 (上)P267 (下)P294

上下巻 合計561ページ、厚さ合わせて約5㎝とかなりのボリュームで読むのをためらっているあなた!わたしもそう思っていたがいざ読んでみるとこの上下巻で約600万年前から現在までにどのようにして、われわれ*1は世界各国に移り住み文明を発展させていったのかが解る

 決して難しくはなく、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の手によってぎゅっと濃縮され、むしろ“知りたい”という、われわれ*2の本能を掻き立てる物語となっている。読みを終わったあと、いったい今までの知識は何だったのかと思わせる知のパラダイムシフトを体験するだろう

世界約50か国以上でベストセラーとなり約1000万部の販売実績を持ち

バラク・オバマ
ビル・ゲイツ
マーク・ザッカーバーグ
堀江貴文氏も絶賛している

サピエンス全史とは

  • サピエンスとは

人間は動物分類上 ヒト科ホモ属の生物である*3

人間=ホモ・サピエンス(以下:サピエンス)となる

  • 全史とは

その分野全体を扱った歴史

つまりヒトの歴史のことを意味している

約600年前、類人猿の双子の子どもから物語が始まる一頭はあらゆるチンパンジーの祖先*4となり、もう一頭はあらゆるヒトの祖先*5へと進化を別にした。
そんなヒトの先祖の物語、時間をさかのぼっていこう

 約7万年前

約200万年前の旧石器時代と呼ばれていた頃、サピエンスは偶然にも石をわり鋭利な石で狩猟し、動物の皮をさき、肉を切ることができる道具を発明した。

打製石器”だ

打製石器の発明によって今まで恐れていた動物をも狩猟することが可能になり生活水準がぐっと上がった。
それと同時に今まで群れの中で力の強いものだけが群れのリーダーだったが皆が最新兵器*6を持つようになり、力のない者でもその気になればだれでも“打製石器”を使いリーダーになれるチャンスを得ることができた。

約30年万年前には、サピエンスは*7をも操ることもできるようになり、硬い食べ物を柔らかく、生のものを焼き消毒し消化の良いものを食べ、時にはどう猛な動物から身を守ることもできる唯一の動物となった

ぼう大な時間が過ぎ、緩やかな進化によって約7万年前に認知革命が起こった

認知革命とは

想像

物事を想像し相手に伝えることが少しずつできるようになったサピエンス、オスは狩猟の際、「獲物が川の近くに3頭いる」と仲間に状況を伝えどのようにして獲物を捕らえるか作戦を考え、メスは木の実やキノコ収集、子育ての間、オスのウワサ話をして情報を共有*8していた

虚構

虚構*9とは

事実でないことを事実らしく作り上げること

7万年前 ライオンの頭で人間の体をした木彫りが発見されたこの虚構(事実でないこと)の発見により、当時のサピエンスは

事実でない物を想像することができることにより神話などを集団で信じ*10他人と守護神を共有しお互いに知らない人とでも協力が可能になったと考えられた

能力を最大限に引き出し、イカダ、ランプ、弓矢、針などを発明し、新しい大陸へと食料を求めて移動していった

約1万2千年前

サピエンスはアフリカ大陸から狩猟をしながらユーラシア大陸へと移動し続けたがゆっくりと小麦が栽培され、各地様々な場所で独立した形で小麦が栽培されていった。今、わたしたちが摂取している約9割以上の作物が紀元前9500年前から紀元前3500年前にかけて栽培されて牛、豚などの家畜化にも成功した農業革命が起こる

なぜ狩猟採集から農耕へと移行したのか

ゆるやかにサピエンスは進化し、利口になり、危険な狩猟採集からの生活より安心、安定した生活を送るたに農耕へと移ったということではなかった。

ではどのようにして農耕へ移行していったのか?小麦の力によって狩猟採取から農耕へ移行していったのだというつまりホモ・サピエンスは“小麦などの穀物”に家畜化された。

生活は豊かになったのか

農耕は畑を耕し、雑草を取り、種をまき、水やりを何度も行い、必ず育つ保証はなく とても手間がかかるわりには狩猟採集*11の時より栄養がかたより*12気候によって生きるか死ぬかが決まった。

また一か所に定住することによって病気が蔓延し、他の民族から土地を略奪させないように時には命がけで戦い、とても不安定ではあるが土地を守るようになり何千年との月日がが経つにつれて村から町へ、町から都市へ、都市から国家へと近隣の人々と団結を強くし大きな共同体*13になっていった。

農耕は不安定ではあるがほんの一粒の小麦からはるかに多くの収穫があり、サピエンスの空腹も満たし狩猟採取時代では約50人以下で行動をともにしていたが農耕革命により集団の数が100、1,000人と爆発的に人口が各地で増加した。*14

 約500年前

ヨーロッパを中心に科学革命が起こった

科学革命とは*15

サピエンスが解らないという無知であったことを発見した

科学革命が起こる前、サピエンスは世の中に知らないことはすべては“神”が知っているという考えがあったが世界地図上に載っていない先はいったいどうなっているのか?

サピエンスが本来持っている本能*16を掻き立てインド、アメリカ、南アメリカ大陸と次々と発見し植民地化しヨーロッパ大航海時代の幕開けとなった。

2度目の世界進出

約7年万前アフリカから旅立ったサピエンスたちは世界各地に散らばり約1万2000年前に農耕革命を起こし各地で定住するようになり、約500年前にアフリカの少し上、ヨーロッパより2度目の世界大陸を目指すことになった目的は植民地化し莫大な利益を得ること

世界地図を開いてよく見てほしい日本が真ん中にありヨーロッパは左上 カナダ、アメリカは左上に書かれているヨーロッパからアメリカまでずいぶん遠く離れている*17しかしこの地図は日本を中心に考えている。メルカトル図法の地図の面を外側にぐるっとヨーロッパ(左)アメリ(右)をくっつけてみるとヨーロッパからアメリカは約5500㎞と近い

資金調達

大航海時代によってヨーロッパ諸国が多額の資金を調達するため株式会社を設立し市民からも資金を調達できる仕組みを考えた
資金を募り新しい大陸を見つけてはヨーロッパへ金、コショウ、砂糖などの高価なものを持ち帰り株主に配当を分けるという『信用』が生まれ、『信用』が生まれれば資金は調達しやすくなり再び投資し、新たな大陸発見の費用として使われた。
新大陸を植民地化し文化、言語などを解明、その大陸に適したタバコ、サトウキビ、綿花のプランテーションを作りそこで働く奴隷をアフリカから大量に輸入し過酷な労働をさせた。科学革命では平均寿命も40歳から60~70歳と伸び、子どもが成人になるまでの死亡率も1/4から1/3へと下がった。なぜならば大航海時代の膨大な量のデータにより医学、天文学、地理学、気象学、科学、統計学などが飛躍的に進歩しサピエンスの生存に活かされた

約200年前

産業革命が起こった

産業革命とは

熱を運動エネルギーに変換させる画期的な革命*18

産業革命以前のエネルギーといえばサピエンス、家畜の筋肉が原動力となり畑を耕し、小麦を植え、水をやり、収穫し人、家畜が小麦を食べるの繰り返しだったが産業革命により蒸気による熱を運動エネルギーへ転換させるトラクターが畑を耕し、やっと小麦から解放された。蒸気機関車の登場でサピエンスや物をより多く、遠くへ運べるようにもなり、この産業革命が実質的にサピエンスの暮らしを激的に豊かにさせ人口の増加に拍車をかけたが、それに伴い『時間』に縛られるようになっていく

 現在、未来

世界の人口は約70億人平均寿命は約70歳*19貧困者の数は減り、子どもへのワクチン接種が約80%を超え、約80%の人たちが電気を使えるようになり世界全体的にはサピエンスは豊かになった。
2000年以前から盛んに遺伝子工学が発展し、細胞、核レベルまでに生物の仕組みが解り、かつては想像すらできなかった可能性が開かれ、再生医療ナノテクノロジーなどサピエンスは“”無知であったことを発見したおかげでより好奇心を掻き立てることによって猛烈な速さで科学技術を駆使して技術革新をいくつも乗り越えて今ではコンピュータがサピエンスの能力をほんの少し超えたシンギュラリティ*20の時代に突入し今後ますますサピエンスよりもコンピュータの能力がはるかに高い時代へと移っていく

我々サピエンスは今後どう生きてゆくのか⁉

 

 

 

 

あとがき

上巻には、最初に歴史年表が3ページにわたり載っている。約135億年前から未来まで大まかに書かれているが全体像が可視化できイメージしやすい
下巻末巻には索引*21が載っていて読んでいて用語がわからなくなったときにすぐに調べることができ、かゆいところに手が届く仕様となっている。

作者

ユヴァル・ノア・ハラリ 1976年- イスラエル歴史学者 
よくこんな約7万年前の出来事から現在、未来のことを本2冊にまとめるて書けるなんて天才だ、歴史の教科書を読むと眠たくなるが『サピエンス全史』は吸い込まれるように読み進んでしまう*22

 翻訳者

柴田裕之*23氏の翻訳は極力難しい専門用語では使わずに理解しやすいように翻訳されている*24
柴田氏のあとがきにも読書の醍醐味は『目から鱗が落ちる』を体験することであると書かれていたまさに『サピエンス全史』はヒト=ホモ・サピエンスがどのように誕生して世界中を渡り定住し、文明をどう築いていったのかを約7万年前から現代、そして未来へと上下巻にまとめられた物語となっている。

 

次作の『ホモ・デウス』も楽しみだ

*1:ホモ・サピエンス

*2:ホモ・サピエンス

*3:自らサピエンス“賢い”と名付けた

*4:ヒト科チンパンジー

*5:ヒト科ヒト属

*6:打製石器

*7:30万年前から火を扱えたとは驚きだ

*8:これは現在もいたるとことで見られる井戸端会議の原点で今も大昔も変わっていない。

*9:きょこう

*10:ライオンは我々の守護神だと

*11:移動しながら時に木の実、キノコ、野菜、肉と様々なものを手に入れた

*12:穀物ばかり

*13:帝国

*14:しかし、人口増加によって暮らしが豊かになったかといえばそうとも言えない

*15:聞きなれない言葉だが

*16:知らないことを知る

*17:左から右へ

*18:気がつくのに600年間かかったという

*19:平均で約70歳 日本などでは人生は100年とまで今は言われている

*20:技術的特異点

*21:さくいん

*22:中毒性がある

*23:しばた やすし

*24:とてもありがたい

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